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埼玉県秩父郡小鹿野町(おがのまち)にある「尾ノ内氷柱(尾ノ内渓谷の氷柱)」は、秩父の厳しい冬の寒さを利用して作られる巨大な氷の芸術です。
秩父エリアには「三十槌(みそつち)の氷柱」「あしがくぼの氷柱」そしてこの「尾ノ内氷柱」という3つの有名な氷柱スポットがありますが、中でも尾ノ内氷柱は「吊り橋から氷柱を眺められる」という唯一無二の特徴を持っており、その絶景を求めて毎年多くの観光客が訪れます。
尾ノ内氷柱は自然にできたものではなく、地元の人々(尾ノ内渓谷氷柱実行委員会)が、尾ノ内沢から500m以上もパイプを引いて水を散水し、凍らせて作り上げています。
例年の開催期間は1月上旬から2月下旬です。最も氷が成長し、見応えがある見頃は1月下旬から2月上旬にかけてです。暖冬の年は氷の形成が遅れることもあるため、お出かけ前には必ず現地の観光協会公式サイトやSNSで最新の氷結状況をチェックすることをおすすめします。
氷柱の維持管理や周辺の整備のために、入場時に「環境整備協力金」が必要です。
協力金を支払うと、会場内で温かい甘酒や紅茶の振る舞いを受けられる年もあり、冷えた体に染み渡る美味しさは格別です。
「どれに行けばいいの?」と迷う方のために、それぞれの特徴を比較しました。
尾ノ内はアクセスこそ少し大変ですが、その分、山奥ならではの静寂と迫力を味わえるのが最大の魅力です。
私が実際に訪れて感動した、尾ノ内氷柱ならではの体験ポイントをご紹介します。
一番の見どころは、何と言っても「吊り橋」です。氷柱の会場には全長約150mの吊り橋がかかっており、ここを歩きながら両サイドに広がる巨大な氷の壁を間近に見ることができます。
吊り橋は一度に渡れる人数に制限があるため、混雑時は少し待ち時間が発生することもありますが、橋の上から見下ろす渓谷の氷は圧巻です。足元が少し揺れるスリルも相まって、冒険気分を味わえますよ。
通常は16時で終了しますが、期間中の土日祝日限定でライトアップが行われます。
昼間の白く輝く氷柱も美しいですが、夜のライトアップは別世界です。色とりどりのLEDライト(近年は環境に配慮した発電機を使用)に照らされた氷柱が暗闇に浮かび上がり、非常に幻想的です。デートで訪れるなら、この時間帯を狙うのが間違いありません。ただし、夜は昼間以上に気温が下がるため、防寒対策は万全にしておきましょう。
会場入口付近には売店エリアがあり、地元のお母さんたちが作る郷土料理や軽食が楽しめます。
過去には、地元産のじゃがいもを使った「みそポテト」や、温かい「すいとん」などが販売されていました。また、焚き火が用意されている休憩スペースもあり、パチパチと燃える火を囲んで暖を取る時間は、都会では味わえない贅沢なひとときです。無料で振る舞われる甘酒(なくなり次第終了の場合あり)も、甘さ控えめでとても温まります。
検索ユーザーが最も不安に感じるのが「アクセス」です。山奥にあるため、事前のルート確認が必須です。
車でのアクセスの場合、カーナビには「尾ノ内渓谷」または「尾ノ内自然ふれあい館」と入力してください。
会場近くの駐車場は満車になりやすく、その場合は少し離れた臨時駐車場に誘導されることがあります。ライトアップ開催日の夕方などは特に混雑し、駐車場待ちの渋滞が発生することもあるため、時間に余裕を持って到着することをおすすめします。
結論から言うと、ノーマルタイヤは絶対にNGです。
小鹿野町の市街地には雪がなくても、尾ノ内渓谷へ向かう道は山間部に入り、日陰が多いため路面が凍結していることが頻繁にあります。「今日は晴れているから大丈夫」という油断は禁物です。必ずスタッドレスタイヤを装着するか、タイヤチェーンを携行してください。私の経験上、最後の数キロの上り坂が特に滑りやすくなっています。
公共交通機関を利用する場合、直通バスはないため乗り継ぎが必要です。
注意点は、バスの本数が少ないことと、バス停から会場までの徒歩移動です。この徒歩ルートは緩やかな上り坂になっているため、歩きやすい靴が必要です。氷柱期間中は臨時バスが増発されることもあるので、西武バスの公式サイトで最新の「氷柱期間臨時ダイヤ」を確認してください。
「寒すぎて楽しめなかった」という後悔を防ぐための装備リストです。
現地の気温は、日中でも氷点下になることが珍しくありません。スキー場に行くような服装をイメージしてください。
会場内は整備されていますが、地面は土や砂利、場所によっては雪や氷で滑りやすくなっています。また、散水の影響で泥状になっている箇所もあります。
おしゃれなヒールや白いスニーカーは避けましょう。スノーブーツやトレッキングシューズが最適です。もし普通のスニーカーで行く場合は、靴の上から装着できる簡易的な「滑り止め(スパイク)」を持参すると安心です。
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せっかく小鹿野町まで来たなら、氷柱だけ見て帰るのはもったいないです。
小鹿野町といえば、丼からはみ出るほど大きなカツが乗った「わらじカツ丼」が有名です。
ランチタイムは混み合うので、氷柱を見る前(11時頃)か、見た後の遅めの時間を狙うのがコツです。
氷柱見学で冷え切った体には温泉が最高のご褒美です。
車での移動なら、少し足を伸ばして以下のスポットもおすすめです。
尾ノ内氷柱は、秩父三大氷柱の中でも特に「秘境感」と「地元のおもてなし」を感じられる温かいスポットです。吊り橋から見る氷の絶景は、寒さを忘れるほどの感動を与えてくれます。
最後に行く前のチェックリスト:
準備を万全にして、小鹿野町ならではの冬の魔法を楽しんできてくださいね!